2015年06月04日

雨期を迎えて思うこと@カンボジア

カンボジアもいよいよ雨期を迎えました。
ここプレアビヒア県のスロアエム村でも、夕方から夜にかけて強風が吹き、その後に雷を伴った豪雨というのが最近の傾向です。

実は私が赴任した1月以来、今年は乾季の真っただ中にもスコールが来る日がしばしばありました。
また、ここ数年の傾向として、雨期には集中的な豪雨と干ばつの繰り返しが起こっています。
この様な天候不順は、人口の約8割を農民が占めるカンボジアでは、農作物に被害を与えるなど、人々の生活に深刻な状況を生んでいます。
農産物の不作は、もちろん都市で暮らす富裕層にもコメや野菜の値上がりによる出費増という不都合を強いていますが、やはり一番大きな被害を受けるのは生産者である地方で暮らす農民たちです。
こうした状況下で、翌年の作付のために資金を借り入れる必要が農家にも出てきたことから、現在のカンボジアではマイクロファイナンスと称して農村部に進出してくる銀行が増えてきました。

私のカンボジア人の友人たちは、天候が不順になった原因を「木を伐りすぎたからだ」と口を揃えて言います。
これはあくまで彼らの感じていることであって、「カンボジア国内での森林伐採」と「天候不順」の因果関係が論理的に証明されている訳ではありません。
しかしながら、地球規模で考えた場合、木材伐採が自然環境に影響を与えていることは明らかです。

エファが事務所を置いているスロアエム村は、タイと国境を接するプレアビヒア県に属し、そしてプレアビヒア県はカンボジア政府の方針により、積極的な移民受け入れ地となっています。
その理由はタイとの国境問題にあります。
タイとの国境紛争が始まるまでは、森の中で生活する少数民族と平野部で生活する僅かなクメール人が細々と暮らす土地だったとのことです。
カンボジア政府としては、プレアビヒア県の住民を増やすことによって、この地域のカンボジアへの帰属の正当性を主張できることになります。

プレアビヒア寺院の帰属問題からタイとの間で国境紛争があったことをご存知の方も少なくないとは思いますが、この紛争をきっかけにカンボジア政府は大量の軍人をこの地に移民させました。
その軍人たちが森の一部を切り開き村の原型を作ったところに、続いて民間人の移民を奨励しました。
移民の対象になったのはカンボジア各地の「土地なし農民」や「日雇い労働者」が主で、カンボジア政府が彼らに無償で土地を与え開拓を託しました。
そしてこの移民政策は現在でも進行しているため、プレアビヒア県では人口の増加率が比較的高くなっています(昨年度統計では6.67%)。

私の友人たちが言う「木を伐りすぎた」ことが天候不順の原因であるならば、最初に木材需要に伴う森林伐採が天候の変化を招き、天候の変化が農民に土地を担保にした借金をさせ「土地なし農民」や「日雇い労働者」を生み、さらにこうした貧困層に属する人々が開拓地で新たな森林伐採を行い天候不順を助長するという負のサイクルをかたち作っていることになります。

元を正せば大量消費社会による木材への需要増であるのは確かですが、この様な社会状況も地球環境への負荷を増やす要因のひとつになり得るのかも知れません。(島村)


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