2017年07月21日

障がい児クラブで保護者にピアカウンセリング

エファジャパンはベトナム・ハイフォン市で支援している障がい児クラブの保護者達を対象にしたピアカウンセリングを始めました。

このピアカウンセリングは、エファジャパン、現地政府協力機関のハイフォン市ソーシャルワークセンター、民間の障がい者団体ハイフォン市生活独立クラブが協力して行っています。

ベトナムで活動する海外NGOは現地の政府機関を協力機関として一緒に活動することが義務付けられています。

上(政府)が下(市民)を先導しての地域参加(=地域動員)という概念が強くあるベトナムの政府機関にとって、皆で民主的に思いを共有するピアカウンセリングの実施は決して興味深い活動とは言えません。

そのため政府機関も協力しての、特に農村部の障がい児の保護者を対象としたピアカウンセリングの実施はベトナムでも新しい試みだと思います。

ピアカウンセリングを実施する準備にあたって、ハイフォン市ソーシャルワークセンターからは、「ファシリテーターは仕事に就いて自立した生活をしている障がい者のモデルになれる人が務めるべきだ」、ハイフォン市生活独立クラブからは「仕事に就いているかどうか、障がい者のモデルとかは、ピアカウンセリングに関係ない」など意見の相違はありましたが、それでも当センターの職員はベトナムの機関の中では比較的オープン・マインドの人達なので、ピアカウンセリングを実施できる運びとなりました。

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障がい者当事者同士によるピアカウンセリングは、日本財団がベトナムの障がい者団体で研修などの実施を支援していたそうです。

今回ファシリテーターを務めたハイフォン市生活独立クラブの2名も身体障がい者ですが、彼女らも日本財団の支援でファシリテーターとしての研修を受けたことがあり、自分達のクラブのメンバー間でも定期的にピアカウンセリングを実施しているということです。

しかし、ピアカウンセリングは都市部にある民間の障がい者団体内だけで行なわれることが多く、そこから広まっているとは言えません。その理由としては、農村部では障がい児者やその保護者が集まる機会がないこと、行政を通じて集めるのは手続きなど複雑な事、行政自体が熱心でないことが挙げられます。

障がい児の保護者と話をしていて大抵求められるのは、通院費や手術代、生活費の支援です。

今回初めて農村部の保護者にピアカウンセリングを実施するとあって、趣旨をよく理解していない保護者が、これらの費用の支援を求めてきて、共有すべき話・テーマから逸脱してしまうのではないかという懸念がありました。

ピアカウンセリングの最中実際にそのような話もでてきましたが、ファシリテーターの2人が、自分達で今出来ることを話し合うような流れを作ろうとします。自分の子どもへの思いを吐露することで、泣き出す保護者もいました。

ベトナムの農村部の大人達は皆で集まって討論したことのある経験もあまりなく、まだ慣れていないとあって、今回のピアカウンセリングでは皆で話し合うというよりは、ファシリテーターの問いかけに一人ずつが答えると言う感じで進行しました。

ハノイやホーチミンの都市部ではパソコンやスマートフォンを駆使し、障がい児の保護者同士が連絡を取り、自分達で親の会を結成し、障がい児のための様々な活動を行なっています。親の会のメンバーの教育水準も高く、英語や日本語ができる保護者も少なくなく、海外から情報や支援を積極的に集めています。

一方、農村部の保護者は工員や農民、日雇い労働者の人達が少なく、経済的に厳しい状況下にあります。上(政府)から言われて何かをすることには慣れていますが、新しいことを自分達で始めることには慣れていません。

都市部のように当事者たちが自らの意思で集まって何か活動が始まるようになるには、まだまだハードルは高いようです。

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ピアカウンセリングを実施し続けることで、保護者達をエンパワメントすることができるのか、何か変えることをできるのか或いは何も変わらないのか、手探り状態です。

ただ、障がい者当事者団体であるハイフォン市生活独立クラブの協力を得て、ベトナムの農村部で始めてみるのは貴重な一歩であることは間違いないと思います。


(崎)
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2017年07月10日

日本で働きたい障がい児の父親

先日、エファが支援しているベトナム・ハイフォン市の障がい児クラブの活動を視察した時、ある障がい児の父親と話をしました。

家族は妻と5歳になる男の子の3人で、5歳の子どもは聴覚障がいを患っており、一度手術をしたことあるものの、まだ耳が良く聴こえないということでした。

もう一度手術を受ければ耳が良く聴こえるようになるということですが、手術費用は日本円にして370万円かかるとのこと。

その父親は昔静岡県の製紙工場で1年ほど工員として働いことがあり、日本語も少し話せます。現在は、ハイフォン市郊外の製紙工場で働いており月収は(直接は聞いていませんが)恐らく2万円〜3万円だと推測されます。

そこで子どもの手術費用を貯めるために、もう一度日本で働きたいということでした。日本で単純労働に就いているベトナム人の技能実習生が1年で100万円貯めていると仮定しても、370万円貯めるには4年弱はかかります。

問題は働き口を探すこととビザの取得。

技能実習生ならベトナムの至る所で、(怪しい会社も多いですが)人材派遣会社が募集しているのを目にします。彼に「技能実習生としてなら3年〜5年働けるのではないか?」と尋ねたところ、「28歳までしか駄目で、私は31歳だから無理です」という回答。

私自身詳しく技能実習制度を知っている訳でないので、自宅に戻ってネットで同制度を調べてみると28歳という年齢制限はないような気が…

よく批判の対象になる日本の技能実習制度ですが、同制度で働きお金を貯めてベトナムに戻り新たな小ビジネスを始めたり日本語を覚えたりして、感謝していると言うベトナム人にも少なからず現地で会ってきました。

より良い暮らしをしたいと思う以前の段階として、子どもの障がいを治すために日本で働きたいという彼の思いには、子を持つ同じ親として心を打たれる思いがします。

もう少し私自身でも探してみて、何かあれば彼に情報を提供してみたいと思います。

(崎)
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